【HarQの使えばわかる】S1Rと中一光学Speedmaster85mmでポートレイト

前回の【中一光学 Speedmaster85mm F1.2】のコラムは、FUJIFILM GFマウント対応版でしたが、今回は話題の35mmフルサイズ”LUMIX S1R”をロケーションポートレイトで使用したので、その作品を中心に使いどころをレビューしてみます。
 

とは言っても、Lマウント版の Speedmaster 85mm F1.2があるわけではなく、今回は焦点工房ブランドSHOTEN(ショウテン)のマウントアダプター「NF-LSL(ニコンFマウントレンズ → ライカSL.Lマウント変換)」をお借りしての撮影です。

[作品] LUMIX S1R + SPEEDMASTER 85mm F1.2

 

(F1.2)

 

(F1.2)

F1.2~F1.4までは収差もあり、柔らかい描写で撮影できます。ただし、極薄の被写界深度のマニュアルフォーカスのピント合わせはEVF拡大が必須です。よくあるピーキング表示はかえって邪魔になりますので通常表示でピントの山を見ます。


 

(F2)

F2まで絞ればピント面の収差もかなり減り、後ボケも落ち着いた感じになります。被写体を浮き上がらせる描写が得意なこのレンズであれば、雑然とした背景も作品の味方に出来るでしょう。


 

(F1.2)

 

(F1.2)

85mmレンズに期待するところは、中距離で被写体を浮き上がらせることです。ボケ量に関してはもっと長い焦点距離のレンズのほうが良いですが、作品としては背景を取り込む範囲が重要ですし、撮影の距離感は人物撮影では非常に重要です。


(F2)

F値開放付近で顔を出す渦巻きボケもF2ではかなり抑えられます。藤棚の支柱や藤の枝もボカしてしまえば被写体のクローズアップも簡単です。


(F1.2)

これくらいの距離だとF1.2の開放でもピント合わせは楽にできます。背景のシャクナゲを開放付近の特徴的な渦巻きボケを使って華やかな柄にしてみました。


(F1.2)

中距離で背景が雑然としているところなら迷わずF1.2を使います。この距離で被写体を浮き上がらせると独特の世界観の演出にもなりますし、それが出来るレンズです。


(F2)

このレンズの特徴は、背景を単純化させれば水彩画のような画作りがしやすいこと。


(F1.4)

半逆光気味の光で引いた構図だと、F値開放ではピントが流石にわかりにくく、わずかに絞ってF1.4としています。スタンスの取れる撮影場所なら思い切って引きの構図で撮れば、このレンズの持つ独特の描写を堪能できます。


 

【撮影後の印象】

このレンズにしか出せない世界があります。簡単に言えば味のある描写ですが、ポートレイトで重要な中央部の解像は必要にして十分ですし、柔らかいトーンの描写は被写体のアラを目立たなくさせる点で優れています。気になるフリンジについては、出ないわけではないものの気になる出方はしないので思い切って使えるレベル。F1.2~F1.4での渦巻きボケ、F2頃からのシャキッとし始めるピント面、このあたりを上手く使うことで高価なレンズや純正レンズでは出しにくい”味”を楽しめるレンズです。

 

写真&テキスト: HarQ Yamaguchi / モデル: 草野こころ


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