【HarQの使えばわかる】 中一光学 SPEEDMASTER 85mm F1.2 / FUJIFILM Gマウント

今回は、FUJIFILM Gマウントに対応した【中一光学 Speedmaster 85mm F1.2】を GFX50Sで使ってみた。このレンズは、元々35mmフルサイズ向けに開発されたレンズで今回初のミドルフォーマットへの対応版となる。
35mmフルサイズからのキャリーオーバーとは言え、ミドルフォーマット用のレンズとしては異例な開放F値1.2であり最小絞りがF16である。ポートレイトレンズとして、そのコストパフォーマンスの高さはわかっていても、光学一眼レフでは苦労するマニュアルフォーカスのF1.2だがミラーレス・ミドルフォーマットではどうだろう。

 

 

■周辺減光

開放F値の明るいレンズで気になる周辺減光について絞り値毎に調べてみた。
周辺減光はF1.2で最も多く発生し、F2.8に気にならないレベル、F4でほぼ解消される。周辺減光が嫌ならRAW現像で補正することができるし、撮って出しで考慮するならアスペクト比を3:2や1:1にすると周辺減光は解消される。つまり使いこなしである。逆に周辺減光を利用した作品作りもアリだと考えるのでそういう使い方に活かすのが吉だと思う。

■シャープネス

シャープネスは、F1.2からシャープに解像しており、明るさから想像すると意外と言える。絞るに従って、周辺解像力が立ち上がり、F8付近から四隅も十分に解像し、F16においても回折ボケなどは見られない。中心付近の解像力のピークはF5.6あたりとなる。

■フレアやゴースト

F1.2~F1.4では逆光時にフレアがかなり出る方だが、明るいレンズゆえの宿命といえる。大きいレンズフードが付属するので常に使うようにするべきだろう。ゴーストは比較的少ない方である。

■ピントの合わせやすさ

ピントはEVFや背面液晶の拡大により非常に合わせやすい部類にはいる。85mm F1.2というスペックを気にする必要はないし、光学一眼レフより遥かに使いやすい。コツは拡大せずに大体を合わせてから、拡大して微調整をすれば合わせるのは容易だ。ピントヘリコイドの回転角は大きいので高速に合わせるような使い方はちょっと難しい。

■使いにくい面は何か?

最短撮影距離が1mである点が少々残念である。35mmフルサイズ換算で68mmの画角の割には遠いのだ。
逆光時のフレアは全面に均一に出るわけではなく、センター付近に丸くフレア抜けの様な部分がでる事がある。逆光ゆえに撮影時に気づきにくく、フレアを利用する場合は自分の立ち位置を変えて複数枚撮影しておくことを勧める。

風景撮影はもちろん行える。しかし、F8より絞る事になるわけだが最小絞りがF16というのはいささか厳しい。ミドルフォーマットという事を考えればF22、出来ればF32程度までに絞りたいのが正直な意見である。しかし、それだけ精細な描写をするレンズであるという事でもある。


■以下、作品撮影例
GFX

[F1.2] 開放/やはり明るいので室内での猫撮影などには重宝する。ただし、モデルのように止まってはくれないので効率良いピント合わせに慣れておく必要がある。なめらかで上質なボケ味は家の中の雑然を消してくれる(笑)。

 

[F4]

 

[F1.4] 高画素なカメラは、モノクロームでパワーを発揮する。トーンの表現力が高いのだ。F4以上での端正な描写と開放付近での渦のように流れるボケが共存するレンズの表現力は高い。


桜をハイキー気味に2種類のF値で描写してみた。収差の残るF1.4では渦巻くボケと収差によるソフトな描写で春らしく。F2.8では収差がほぼ消えてカッチリ目に描写して精細感を出してみた。絞りの変化を作品に活かすのは面白いものである。

 

[F1.2]

 

[F2.8]


落ち着いたアンダー気味での春らしいスナップに使ってみた。いずれも開放での使用だが、ピント面はシッカリ解像して、余裕のある描写をしている。

 

[F1.2]

 

[F1.2]


桜の状況を調べに出た時に風景として撮影してみた。F10で通しての撮影。四隅まで精細に解像している点が素晴らしい。GFXの5000万画素が活きるシーンである。

 

[F10]

 

[F10]

 

[F10]


このレンズの本領発揮なポートレイトで使用してみた。窓からの自然光でその場の空気も見事に描写してくれる。

 

[F1.4]

 

[F1.2] 被写界深度の浅さは画作りの大きな助けになる。

 

[F1.4] ポートレイトにおいてはナチュラルな解像感と緩やかなアウトフォーカスのコンビネーションが重要である。

 

[F1.2] 開放付近での逆光フレアを作品に利用してみた。全体にローコントラストになるが、高輝度周辺にフリンジなどは出ないので思い切って使える点が高評価である。センター付近の丸くフレア抜けのようになるのが気になるが、撮影時は全くわからない。


■感想

ミディアムフォーマットで使うには少々明るすぎないか?と思っていたが、様々な使い方のできるレンズであることがわかった。開ければ味のある描写をし、絞れば細密な描写をする。ミラーレスにとってこのレンズは極めて使いやすく、コストパフォーマンスの高さも相まって持っておきたいレンズの一本である。

 

HarQ Yamaguchi


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中一光学|SPEEDMASTER 85mm F1.2 – 富士フイルムGマウント 単焦点レンズ



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