富士フイルムから中判ミラーレスGFX 50Sが登場し、オールドレンズ界隈が活気づいている。GFX 50Sはマウントアダプター経由での撮影が可能で、オールドレンズのベースボディとして理想的だ。すでに各社からGFX 50S用マウントアダプターが多数発売になっており、中でも際立っているのが今回紹介するFringerの製品だ。
FringerはAF可能なコンタックスレンズに特化したマウントアダプターメーカーだ。コンタックスN、コンタックス645といったAF対応レンズを、最新のデジタルボディで甦らす。単に装着するだけでなく、AF動作と絞り制御に対応したスマートアダプターだ。
ここで取り上げるFR-C6GFは、コンタックス645マウントレンズをGFX 50SでAF動作させるマウントアダプターだ。そもそもコンタックス645は中判一眼レフで、AFと電磁絞りを採用しているため、再利用の難しいレンズだった。FR-C6GFはそれをGFX 50Sで完全復活させる。AFと絞りをGFX 50S側で制御でき、Exifには絞り値はもちろん、レンズ情報も記録可能だ。現時点ではAF動作非対応のコンタックス645レンズもあるが、ディスタゴン T* 45ミリF2.8、プラナー T* 80ミリF2.8、ゾナー T* 140ミリF2.8など、主要なレンズはAF動作が可能だ。その他のレンズもMFであれば問題なく動作する。もちろん絞り制御はすべてのコンタックス645レンズで可能だ。
ここでは2本のコンタックス645レンズで試写してみた。まずディスタゴン T* 45ミリF2.8だ。35ミリ判換算28ミリ相当の広角レンズである。GFX 50Sに装着した場合は35ミリ判換算36ミリ相当となり、一応広角らしさを感じられる。AF動作はマウントアダプター経由としてはまずまず実用的なスピードだ。ピント精度はかなり高く、合焦ランプさえ点ればピントの芯で被写体を捉えてくれる。GFX 50SのAFモードをシングルモードにセットした場合、ボディのフォーカスレバー(ジョイスティック)でフォーカスエリアをすばやく移動できる。MFに切り替えたいときは、GFX 50Sのフォーカスモード切替レバーを「M」にセットすればよい。このように操作面で制約が少なく、FR-C6GFの完成度の高さが実感できるだろう。
2本目はアポマクロプラナー T* 120ミリF4だ。コンタックス645レンズの中で唯一のMFレンズである。FR-C6GFを経由すると、レンズの電磁絞りをGFX 50S側でコントロールできるのが利点だ。その挙動を見ていくと、まずレンズの絞りリングを任意の絞り値にセットする。自動絞りで動作するため、この段階では絞りは開放のままだ。シャッターボタンを半押しすると絞りが絞り込まれ、そのまま全押しすると撮影となる。ピント合わせは開放状態で行えるため、明るいファインダーで被写体にピント合わせ可能だ。
FR-C6GFはGFX 50S側で絞り操作することもできる。レンズの絞りリングを最小絞り(最も数値の大きいF値)にセットすると、GFX 50Sのコマンドダイヤル(グリップ上部のダイヤル)で絞りコントロールが可能だ。1/3段ずつ絞り値が変わり、シャッターボタンを半押しすると絞り値に従って絞り込まれる。とても便利な機能だが、絞り優先AEおよびプログラムオートに設定している場合、絞りリングを最小絞りにセットするとAFが動作しないことがある。この点が惜しまれるところだ。安定性を重視するならば、絞り優先AE、MF、そして絞り操作はGFX 50Sのコマンドダイヤルというセッティングがお薦めだ。
最後にGFX 50S向けのストラップに触れておこう。周知の通り、GFX 50Sはストラップ取り付け部に独自の金具を用いている。この金具のために、装着可能なストラップが限られてしまうのが現状だ。ただし、ひとつ裏ワザがある。カメラメーカーは推奨こそしていないが、ハッセルブラッド用のストラップが流用できるのだ。ここではCam-inのCAM8042を組み合わせてみた。オーソドックスなナイロンテープのストラップに、オプションのハッセルブラッド用の金具を装着している。これでGFX 50Sに装着したところ、問題なく使用できた。ミラーレスとは言え中判デジタルはそれなりに重量があるので、ストラップは短めにして提げると安定して携行できるだろう。
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