澤村徹×KIPON 古典鏡玉ものがたり Planar T* 85mmF1.4「マクロアダプターの使いこなしテクニック」C/Y-S/E M

KIPONのC/Y-S/E Mには、正面にチューリップのマークがある。写真、カメラをやっている人なら、これがマクロモードを意味することはすぐに推察できるだろう。本製品はヘリコイドを組み込んだマクロアダプターだ。KIPONはこのマクロアダプターが充実しており、ライカMレンズ用を皮切りに、各種一眼レフ用レンズに対応した製品もラインアップしている。

 

マクロアダプターを使うと、レンズ本来の最短撮影距離よりも短い距離で撮影できる。文字通り、マクロに強いマウントアダプターというわけだ。ただし、レンズ側とマウントアダプター側、ふたつのピントリングを操る必要があり、初心者にはちょっとわかりづらいかもしれない。ここでは基本的な使い方を紹介しよう。

 

まず近接撮影するときは、レンズのピントリングを最短撮影距離にセットする。その状態でマクロアダプターのピントリングを繰り出していくと、より短い距離でマクロ撮影が可能だ。レンズを最短撮影距離にセットしておくのがポイントである。一方、無限遠撮影するときは、必ずマクロアダプターのピントリングを繰り出しゼロに戻しておく。マクロアダプターが繰り出されたままの状態だと、レンズのピントリングが∞マークになっていても、無限遠に合焦しない。マクロアダプターのピントリングは、近接撮影時にのみ使用するのが原則だ。

 

なお、マクロアダプター使用時の最短撮影距離は、装着したレンズの焦点距離によって異なる。大まかな目安としては、レンズの最短撮影距離の半分程度と捉えておけばよいだろう。

 

マクロアダプターで近接撮影するときは、はじめにレンズのピントリングを最短撮影距離にセットする。

 

レンズのピントリングを最短撮影距離の合わせた状態で、マクロアダプターのピントリングを繰り出していく。こうすることで本来の最短撮影距離よりも短い距離で撮影できる。

 

無限遠撮影するときは、必ずマクロアダプターのピントリングを元に戻しておく。これが繰り出した状態だと、無限遠でピントが合わない。

 

α7II + Planar T* 85mmF1.4 絞り優先AE F1.4 1/500秒 -0.7EV ISO100 AWB RAW
レンズの最短撮影距離1メートルで、開放にて撮影した。これがレンズ本来の近接撮影だ。

 

α7II + Planar T* 85mmF1.4 絞り優先AE F1.4 1/500秒 ISO100 AWB RAW
マクロアダプターの最短撮影距離で撮影した。開放なので被写界深度極めて浅く、ピント合わせはシビアだ。

 

α7II + Planar T* 85mmF1.4 絞り優先AE F2.8 1/100秒 +1.3EV ISO100 AWB RAW
レンズの最短撮影距離1メートルで撮影。F2.8まで絞り、被写界深度を稼いだ状態だ。

 

α7II + Planar T* 85mmF1.4 絞り優先AE F2.8 1/80秒 +1.3EV ISO100 AWB RAW
マクロアダプターの最短撮影距離で撮影。ここまで寄るのであれば、ある程度絞って被写界深度を稼いだ方が画質的にも落ち着きがある。

 

α7II + Planar T* 85mmF1.4 絞り優先AE F2.8 1/80秒 ISO100 AWB RAW
中距離での撮影例だ。マクロアダプターには触れず、レンズのピントリングだけでピント合わせしている。

 

α7II + Planar T* 85mmF1.4 絞り優先AE F5.6 1/125秒 ISO100 AWB RAW
遠景での撮影例だ。この場合もレンズのピントリングのみでピントを合わせた。通常域ではマクロアダプターのピントリングは使用しない。

 

製品紹介

KIPON C/Y-S/E M
ヤシカ/コンタックスマウントのレンズを、ソニーEマウントボディに装着する。ヘリコイドを組み込み、レンズ本来の最短撮影距離よりも短い距離でマクロ撮影が可能だ。KIPONは他マウントのマクロアダプターも多数用意している。

 


・個人情報について ・サイトポリシー ・推奨環境

Copyright(C) Shoten Kobo Corporation
All Rights Reserved.