澤村徹×KIPON 古典鏡玉ものがたり Summarit-M 50mm F2.5「寄れるから焦点距離2倍も怖くない」L/M-m4/3 M

フルサイズミラーレスのα7が登場してからというもの、マイクロフォーサーズ機はオールドレンズのベースボディとして不利と言わざるを得ない。マイクロフォーサーズはレンズの焦点距離が2倍になるため、例えば50ミリレンズでも35ミリ判換算100ミリ相当となり、ことごとく望遠寄りになってしまうからだ。しかもライカLMレンズのように最短撮影距離の長いものは、寄り切れないストレスがいかんともし難い。こういうときこそKIPON L/M-m4/3 Mのようなマクロアダプターの出番だ。

 

L/M-m4/3 Mはマイクロフォーサーズ用のライカMマクロアダプターだ。繰り出し量は3ミリで、レンズの焦点距離にもよるが、本来の最短撮影距離の半分程度まで寄ることができる。本製品は通常のライカMマウントアダプターと同程度の大きさに収まり、装着した際のスマートな佇まいも魅力のひとつだ。

 

マクロアダプターのメリットは今さら説明するまでもないが、ひとつウィークポイントがある。それは近接撮影した際の画像の乱れだ。最短撮影距離よりも寄るということは、そのレンズにとっては想定外の撮影条件である。程度の差こそあれ、絵作りは荒れる。オールドレンズでマクロアダプターを使うときは、それなりに絞り込んで描写を整えたいところだ。

 

では現行レンズだとどうだろう。今回は一世代前のズマリット50ミリF2.5で近接撮影してみた。現行品は50ミリF2.4となるが、50ミリF2.5も現行レンズと言って性能面では問題あるまい。撮影結果を見ると、最短撮影距離からさらに寄った状態でも、ボケがなだらかで合焦部のシャープさも申し分ない。これなら気兼ねなく接写できる。マクロアダプターと現行レンズの組み合わせは、可能性を感じさせるセットアップだ。

 


レンズを最短にセットして、マウントアダプター側のヘリコイドを繰り出す。ピントリングにローレットを施し、操作感は良好だ。

 


OM-D E-M1 + Summarit-M 50mm F2.5 絞り優先AE F2.5 1/125秒 ISO1250 AWB RAW
マクロアダプター側のほぼ最短で撮影した。マクロレンズで寄ったようなきれいなボケ方だ。

 


OM-D E-M1 + Summarit-M 50mm F2.5 絞り優先AE F2.8 1/100秒 +0.7EV ISO800 AWB RAW
手前の国旗にピントを合わせる。その後ろにある本はうっすらとボケて、近接時の被写界深度の浅さを実感できる。

 


OM-D E-M1 + Summarit-M 50mm F2.5 絞り優先AE F2.5 1/100秒 +0.7EV ISO800 AWB RAW
二線ボケの出そうな撮影シーンだが、後ボケを見るとうまく持ちこたえている。

OM-D E-M1 + Summarit-M 50mm F2.5 絞り優先AE F2.8 1/640秒 ISO200 AWB RAW
前ボケ、後ボケともになだらかで自然な描き方だ。軽さのある発色で今っぽい絵作りである。

 

●製品紹介

KIPON L/M-m4/3 M
マイクロフォーサーズ用のライカMマクロアダプター。シンプルなデザインで、ライカLMレンズと組み合わせてもトラディッショナルな雰囲気を損なわない。ローレット付きでピントリングが回しやすい。


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