澤村徹のカメラガジェット放浪記 第21回「赤いやつに似すぎていると話題沸騰」TTArtisan 28mm f/5.6

写真・文=澤村 徹

 

 

赤ズマロンというライカレンズをご存知だろうか。1950年代に登場したSummaron 28mmF5.6のことだ。被写界深度目盛りが赤表記だったため、他のズマロンと区別するために赤ズマロンと呼ばれていた。2016年にライカ社がこのレンズを復刻発売し、話題になった。そんな赤ズマロンにそっくりなレンズの登場である。それが銘匠光学のTTArtisan 28mm f/5.6だ。

 

オリジナルの赤ズマロンとTTArtisan 28mm f/5.6を並べてみた。TTArtisan 28mm f/5.6は復刻版赤ズマロンをデザインベースにしているため、オリジナルとくらべると差異が大きい。

 

本レンズを印象付けているのがこのフォーカシングレバーだ。大まかなデザインは古風だが、ディテールに今っぽさが感じさられる。無限遠ロックを搭載している。

 

本家赤ズマロンはL39マウントだが、このレンズはライカM互換マウントを採用する。デジタルM型ライカに直接装着可能。距離計連動調整機能も搭載する。また、マウントアダプター経由でミラーレスにも付く。

 

 

本レンズはオリジナル赤ズマロンではなく、復刻版赤ズマロンをデザインモチーフしている。レプリカということではないのだが、フォーカシングレバー、絞りリングなど、復刻赤ズマロンの雰囲気をよく捉えている。また、付属のフードも赤ズマロン専用フードSOOBKを彷彿とさせる。赤ズマロン好きはいうに及ばず、そうでない人にとっても、ボディに貼り付くような薄い造形は心に響くことだろう。

 

SOOBKによく似た金属製フードが付属する。カブセ式フードで、側面のネジで固定。本家赤ズマロンより口径が大きく、赤ズマロンに流用することはできない。

 

前後レンズキャップは金属製だ。TTArtisanのロゴが刻印され、高級感がある。ディテールにこだわりを感じさせる。

 

 

オリジナル赤ズマロンは4群6枚のダブルガウス型だ。それに対し、TTArtisan 28mm f/5.6は4群7枚構成である。LD異常低分散レンズや高屈折低分散レンズを採用し、贅沢なレンズに仕上がっている。外観は赤ズマロンモチーフだが、レンズ自体は独自性を感じさせる作りだ。事実、メーカーによるとライカM11の60MPに耐えうる解像力を備えたレンズだという。心躍る仕様ではないか。

 

Leica M11 + TTArtisan 28mm f/5.6 絞り優先AE F8 1/250秒 ISO64 AWB RAW 60MPで撮影した。マンションの壁をピクセル等倍で見ると、タイルの溝まで解像している。

 

Leica M11 + TTArtisan 28mm f/5.6 絞り優先AE F5.6 1/200秒 -0.67EV ISO64 AWB RAW コントラストは気持ち中間調寄りだろうか。最新の現行レンズだが、味わい要素も見え隠れする。

 

Leica M11 + TTArtisan 28mm f/5.6 絞り優先AE F8 1/160秒 ISO64 AWB RAW 歪曲をほぼ感じさせない写りだ。シャープネスについては、先鋭感よりも緻密さを優先した印象を受ける。

 

 

そこで、ライカM11をL-DNG(60MP)に設定してTTArtisan 28mm f/5.6を実写してみた。カリカリシャープという方向性ではなく、開放は繊細さを感じさせるタッチだ。L-DNG(60MP)で緻密さがあり、少なくとも補間解像度処理を施した画像のような甘さはない。実写からだと60MPに見合う解像度があるのか、厳密な判断は難しいところだが、わざわざM-DNG(36MP)やS-DNG(18MP)に落として使うことはあるまいと感じた。

 

Leica M11 + TTArtisan 28mm f/5.6 絞り優先AE F8 1/80秒 -0.67EV ISO640 AWB RAW トタン板の錆を撮ってみた。ピント位置は画面中央で、緻密な写りだ。周辺部のシャープネスに甘さを感じる。

 

Leica M11 + TTArtisan 28mm f/5.6 絞り優先AE F8 1/250秒 -0.67EV ISO64 AWB RAW 今回の試写結果からすると、全般にハイライトを抑え込んだような印象がある。もう少し抜けがよくてもいいような気がした。

 

 

なお、赤ズマロンと描写面で比較すると、根本的に写りは別モノと考えた方がよさそうだ。オリジナルの赤ズマロンは開放からかなり硬派な写りで、しかも隅々まで解像する。TTArtisan 28mm f/5.6は周辺に若干の甘さがあり、シャープネスもどちらかといえばナチュラルテイストだ。本家よりもオールドレンズっぽい、という言い方をすると雰囲気が伝わるだろうか。外観といい写りといい、ひねりの効いたマニアックなレンズだ。

 



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