写真・文:澤村 徹
コンタックスGのAFマウントアダプターにニューフェイスが登場した。それがSHOTENのGTEである。コンタックスGマウントレンズを、ソニーEマウントボディでAF動作させるマウントアダプターだ。この手の製品はTECHARTのTA-GE1B(2013年発売)、ならびにTA-GA3(2014年発売)という前例がある。ただ、これらはソニーEマウント機が像面位相差AFを搭載する以前の製品だ。像面位相差AFが登場してもファームアップによる対応がなく、像面位相差AFボディでまともに動作しなかった。今回登場したSHOTEN GTEはもちろん像面位相差AFボディに対応している。文字通り、待望のAF対応コンタックスGマウントアダプターというわけだ。
コンタックスGはAFレンジファインダーカメラで、従来製品のTA-GE1BならびにTA-GA3はレンズ側のAF機構を利用していた。しかし、SHOTEN GTEは根本から発想がちがう。レンズのAF機構は使わずに、マウントアダプターのマウント面を前後させてAF動作する。要はTECHART LM-EA7のコンタックスGマウント版と考えればわかりやすいだろう。とは言え、単にマウントがライカMからコンタックスGに変わっただけではない。コンタックスGマウントレンズがより快適に使えるように工夫をこらしている。その冴えたる例が側面にあるファンクションボタンだ。
このファンクションボタンを押すと、AF→MF→MF(マクロ)とモードが変わる。AFとMFをフィジカルに切り替えられるわけだ。アダプター側面にフォーカスダイヤルがあり、MF時はこのダイヤルでピント合わせを行う。MF(マクロ)はマウント面を繰り出した状態でMFモードになり、レンズ本来の最短撮影距離よりも寄ることができる。マウント面移動式AFの恩恵を実感できる部分だ。
ファンクションボタンはセットアップでも使用する。このボタンを押しながら起動し、装着レンズのレンズ情報をセットできるのだ。このセットアップを行うと、装着したレンズに応じてボディ内手ブレ補正機能が最適化され、さらにEXIFにレンズ名や焦点距離を記録できる。電子接点を持ったマウントアダプターの強みだ。
さて、肝心のAF性能はどうだろう。今回は28mmF2.8、35mmF2、45mmF2、90mmF2.8という4本のコンタックスGマウントレンズを試してみた。GTEはコンティニュアスAF、顔認識、瞳AFに対応しているが、AF精度を重視するならフレキシブルスポット:Sだ。スポットSがもっとも効率よくピント合わせできた。ただし、装着したレンズによって動作にちがいがあり、このクセをつかむことが使いこなしのポイントになりそうだ。
今回実写した結果では、35mmF2、45mmF2、90mmF2.8の3本はスポットSで快適に撮影できた。もう少し詳細に見ると、中央部(3分割グリッドラインを表示した際の中央の四角のあたり)で特に精度が良かった。像面位相差AFを利用しているだけあって、AFスピードも実用的だ。ただし、周辺に行くほどAFが迷う場面が増え、極端な構図は苦手という印象を受けた。スポットSを使って中央寄りでピントを合わせるのがコツと言えそうだ。
一方、28mmF2.8だけ挙動が異なる。スポットSで中央部の被写体にピントを合わせても、AFが迷ってシャッターが切れないことが多かった。開放でピント合わせしても、だ。ただし、GTEはファンクションボタンで速やかにMFに切り替えられるので、無理にAFにこだわることもないだろう。今回の実写ではAFが迷ったら即座にMFで撮影した。AF/MFの切り替えやすさがこういったところで威力を発揮する。
コンタックスGのツァイスレンズは、現代的なコントラストの良さと、オリジナルツァイスのどこかノスタルジックな趣きが同居する。SHOTEN GTEでその奥深さを味わってほしい。