澤村徹のカメラガジェット放浪記 第19回「待望のF0.95の実力やいかに」
銘匠光学 TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH

写真・文=澤村 徹

 

ライカのフラッグシップレンズといえばノクティルックスだ。圧倒的な明るさを誇る大口径標準レンズ。現行のノクティルックスはF0.95と人の目よりも明るい。そんな現行ノクティルックスのスペックを踏襲した標準レンズが登場した。銘匠光学のTTArtisan 50mm f/0.95 ASPHだ。
TTArtisanシリーズはライカMマウントの大口径レンズを積極的にリリースしてきた。そうした中、このTTArtisan 50mm f/0.95 ASPHは極めつけといえるだろう。サードパーティー製のライカMマウントレンズは数あれど、50mm F0.95にチャレンジしたのは同シリーズがはじめてではないか。

 

ライカM10にTTArtisan 50mm f/0.95 ASPHを装着したところ。大口径標準レンズだけあって、かなり大柄な鏡胴だ。

 

絞りリングは開放「0.95」だけを黄色で強調している。クリック感は半段刻みだ。

 

絞りは14枚羽根だ。完全な円形絞りではないものの、円形に近い絞り穴を形作る。

 

大口径標準レンズだけあって、さすがに大きく太く重い。現行ノクティルックスが700g。それに対し、TTArtisan 50mm f/0.95 ASPHは約690gだ。数字の上ではわずかに本レンズの方が軽量だが、手にするとズシリと手応えがある。絞りリングのクリックは半段刻みで、クリック感は軽めだ。一方、ピントリングのヘリコイドはやや重めの調整になっていた。開放でのピント合わせは相当シビアなので、やや手応えがあるヘリコイドはむしろ微調整しやすかった。

撮影スタイルはライブビューがメインとなる。今回、ライカM10とα7R IVで実写したが、ともにライブビューと拡大表示の併用で撮影した。TTArtisan 50mm f/0.95 ASPHは距離計連動に対応しているものの、レンジファインダーでの開放撮影はピント合わせがかなり難しい。1~2段絞ってあればレンジファインダーでも実用的に撮影できるだろう。開放メインで攻めるなら、やはりライブビューと拡大表示の併用がおすすめだ。

 

マウント部はなんと金色。18Kメッキが施されている。このレンズが特別な存在であることを印象付ける仕様だ。

 

取り付け指標としてレッドドットが鎮座する。ルックアンドフィールは現行ノクティルックスによく似ている。

 

金属製のフロントキャップが付属。スクリュー式ではなく、側面のボタンで固定するカブセ式キャップだ。

 

さあ、画質はどうだろうか。このクラスの大口径レンズになると、開放で滲みが出ることが多い。しかし、TTArtisan 50mm f/0.95 ASPHは開放で滲むことなく、解像感のある写りだった。さすがに開放から切れ味良好とまではいかないが、コントラストの付き方がいいこともあり、立体感のある写りを楽しめる。もちろんここに極薄被写界深度ゆえの大きなボケが加わり、このレンズでしか描けない世界を見せてくれる。ボケ味は前ボケがややぐるぐるするが、後ボケはなだからで落ち着いている。クセ玉の気配はなく、正統派大口径レンズといえるだろう。

 

Leica M10 + TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH(ND4 Filter) 絞り優先AE F0.95 1/250秒 +0.67EV ISO200 AWB RAW 木立の隙間から赤く色づいた葉を狙う。前後の大きなボケの中に赤い葉が浮かぶ。

 

Leica M10 + TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH(ND4 Filter) 絞り優先AE F0.95 1/500秒 ISO200 AWB RAW ボート側面の文字に開放でピントを合わせる。中心から外れているわりにシャープな描き方だ。クセのないなだらかな後ボケにも注目したい。

 

Leica M10 + TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH(ND4 Filter) 絞り優先AE F0.95 1/4000秒 +0.33EV ISO200 AWB RAW 開放で無限遠撮影したところ、遠景の解像はやや甘い。手前の睡蓮がボケた様子に大口径の個性を感じる。

 

Leica M10 + TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH 絞り優先AE F5.6 1/90秒 ISO1000 AWB RAW F5.6まで絞って無限遠撮影した。全域にわたってシャープな写りだ。淡く色づいた空と海が美しい。

 

Leica M10 + TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH絞り優先AE F0.95 1/90秒 ISO200 AWB RAW 開放での夕景撮影。甘い印象は否めないが、コントラストと色再現性は上々だ。

 

α7R IV + TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH 絞り優先AE F0.95 1/4000秒 -0.7EV ISO100 AWB RAW 小雨混じりの霧の中で撮影した。牛舎と緑が煙る様子をていねいに写し取っている。

 

α7R IV + TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH 絞り優先AE F0.95 1/2000秒 ISO100 AWB RAW 廃屋にピントを合わせ、前後を大きくボカしてみた。中間距離でこういう写りを楽しめるのが大口径標準レンズのおもしろさだ。

 

α7R IV + TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH 絞り優先AE F0.95 1/1600秒 +1.3EV ISO100 AWB RAW 濃い霧の中で手前の木にピントを合わせる。霧に沈む木立にトーンの美しさを感じる。

 

本レンズのアドバンテージは、F0.95という極薄の被写界深度をリーズナブルな価格で体験できる点にある。しかもクセ玉ではなく、まっとうに写るF0.95として、だ。ライカMマウントを採用しているため、M型ライカは無論、マウントアダプター経由で各種ミラーレスに装着できる。幅広い層に開放F0.95の凄みを提供してくれる製品だ。

 


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