澤村徹のカメラガジェット放浪記 第17回「ありそうでなかったMマウントの魚眼レンズ」
銘鏡光学 TTArtisan M11mm f/2.8

TTArtisan M11mm f/2.8

写真・文=澤村 徹

TTArtisanシリーズに魚眼レンズが加わった。TTArtisan M11mm f/2.8はライカMマウントを採用した魚眼レンズだ。ライカユーザーなら周知の通り、ライカMマウントの魚眼はありそうでなかったレンズである。そのためか、すでにヨーロッパでは相当数が売れているという。これまでなかったタイプのレンズだけに、心待ちにしている人が多かったのだろう。

 

TTArtisan M11mm f/2.8

TTArtisan M11mm f/2.8は7群11枚の魚眼レンズだ。前玉は湾曲し、フィルターは装着できない。

TTArtisan M11mm f/2.8

ボディマウント側に軽くテーパーした鏡胴デザインを採用。いわゆるクビレのあるレンズだ。

 

TTArtisan M11mm f/2.8

魚眼の11mmはM型ライカにブライトフレームがない。そのため専用ビューファインダーが付属する。覗くとちゃんと湾曲した像が見える。

 

さて、本レンズはライカMマウントを採用しているが、距離計連動には非対応だ。ただし、絞りをF4にしてピントリングを1メートルにセットすると、無限遠から0.7メートルあたりまでピントが合う。超広角だけに被写界深度が深く、ほぼピント合わせ不要で撮影できる。距離計連動しなくても実用上大きな問題はない。また、こうした仕様のため、ライカMマウントアダプター経由でミラーレス機に付けて使う人も多いという。

TTArtisan M11mm f/2.8

距離計非連動のライカMマウントを採用。ライブビューで使う分には何ら問題ない。

TTArtisan M11mm f/2.8

絞りリングは無段階のクリックレス仕様だ。側面にシルバーのレバーがあり、スムーズに絞り操作できる。


画質を見ていこう。開放からシャープで四隅まで解像し、周辺光量落ちもほぼ気にならない。逆光耐性にも優れ、光源を写し込んでもゴーストやフレアはよく抑えられている。光の条件を問わず、隅々までクリアによく写るレンズだ。また、ライカM10で撮影したところ、ピントリングの∞マークで無限遠にジャストでピントが合った。魚眼レンズは遠景撮影することが多いので、正確な無限遠位置は解像感の向上に大きく構成してくれるはずだ。

 

TTArtisan M11mm f/2.8

Leica M10 + TTArtisan M11mm f/2.8 絞り優先AE F2.8 1/30秒 -0.67EV ISO6400 AWB RAW 複数の高架に魚眼特有の湾曲が加わり、うねる姿がヤマタノオロチのようだ。

 

TTArtisan M11mm f/2.8

Leica M10 + TTArtisan M11mm f/2.8 絞り優先AE F2.8 1/25秒 -0.67EV ISO6400 AWB RAW 開放F2.8と明るいため、夜景撮影でも気負わずに持ち出せる。

 

TTArtisan M11mm f/2.8

Leica M10 + TTArtisan M11mm f/2.8 絞り優先AE F2.8 1/30秒 +0.67EV ISO2000 AWB RAW アメ横の路地を見上げて撮影した。建物が左右から迫り、迫力のある構図だ。

 

TTArtisan M11mm f/2.8

Leica M10 + TTArtisan M11mm f/2.8 絞り優先AE F8 1/180秒 ISO200 AWB RAW メタセコイアの森を見上げる。周囲から回り込むように木々が押し寄せる。

 

TTArtisan M11mm f/2.8

Leica M10 + TTArtisan M11mm f/2.8 絞り優先AE F2.8 1/250秒 -0.67EV ISO200 AWB RAW 本レンズの最短撮影距離は17cm。開放で寄るとボケを活かした撮影も可能だ。

 

周知の通り、魚眼レンズは大胆に湾曲した描写が特徴だ。この湾曲を画像編集ソフトで簡単に補正できる。用意するのは定番RAW現像ソフトのLightroomだ。同ソフトにレンズ補正という機能がある。これは撮影に使ったレンズのプロファイルを適用し、色収差や歪曲収差、周辺光量落ちなどを適切に補正する機能だ。TTArtisan M11mm f/2.8のプロファイルは原稿執筆時点では用意されていないが、近いスペックのプロファイルを適用することで、TTArtisan M11mm f/2.8を画像をスタンダードな広角レンズの画像に補正できるのだ。

 

TTArtisan M11mm f/2.8

【補正前】Leica M10にTTArtisan M11mm f/2.8を付けて撮影。撮って出しの画像だ。

 

TTArtisan M11mm f/2.8

【補正後】前出の画像をLightroom Classicで湾曲補正した画像。木々は真っ直ぐに伸びている。


ここではLightroom Classicで操作方法を解説しよう。「レンズ補正」の「プロファイル」を開き、「メーカー」を「Nikon」、「モデル」を「Nikon AF DX Fisheye-Nikkor 10.5mm f/2.8G ED」にセットする。本レンズのスペックが11mm F2.8なので、近いスペックのプロファイルを選んだ。これだけで湾曲のない超広角画像になる。ただし、焦点距離が0.5mmだけ異なるため、いくぶん過剰補正気味だ。これが気になるときは、「補正量」の「ゆがみ」で微調整をかけよう。いろいろな画像を試したところ、「ゆがみ」を95~98ぐらいにセットするとすっきりとした見え方になった。

 

TTArtisan M11mm f/2.8

Lightroom Classic、およびLightroomのレンズ補正を使うと、魚眼レンズの湾曲を補正できる。

 

レンズ補正のプロファイルは本来レンズに適合したものを適用するが、スペックの近いレンズのプロファイルならまずまずの補正効果が得られる。

TTArtisan M11mm f/2.8

【補正前】大きく湾曲した魚眼レンズならではの画像だ。

TTArtisan M11mm f/2.8

【補正後】プロファイルを適用するだけでスタンダードな広角レンズの画像になる。真っ直ぐそびえるメタセコイアの木が美しい。

 


デジタル全盛の昨今、魚眼レンズは画像編集によってスタンダードな広角レンズとしても使える。ただし、画像編集を行うと画質劣化のリスクがある。具体的には、周辺像がいくぶん流れてしまうのだ。これは湾曲した像を真っ直ぐに補正するため、やむを得ない部分である。とは言え、大きくプリントするならいざ知らず、SNSやホームページ上で見る分にはほぼ気にならない。TTArtisan M11mm f/2.8というレンズを二刀流で楽しんでみよう。

 

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