今秋、ニコンとキヤノンから相次いでフルサイズミラーレス機が登場し、業界は大いに沸いた。久しぶりの新マウントということもあり、マウントアダプター業界も一斉に動き出す。少々意外なことではあるが、ニコンZマウントとキヤノンRFマウント、両マウントアダプターの一番乗りを果たしたのは、焦点工房のオリジナルブランドSHOTENだった。同社は以前からオリジナルブランドのマウントアダプターをいくつかリリースしていたが、今回はニコンZマウントとキヤノンRFマウントについて、主要なマウントアダプターを一通り発売する。これまで様々なメーカーのマウントアダプターを扱ってきた同社だけあって、細部にわたって作りの良さを感じさせる仕上がりだ。
今回はSHOTENのニコンZマウント用マウントアダプターを使い、オールドレンズでの実写をレポートしよう。定番どころのオールドレンズを用意し、SHOTEN製マウントアダプターで撮影した。ニコン Z 6にマウントアダプターとオールドレンズを付けた姿、そしてオールドレンズによる描写を堪能してほしい。
一眼レフ用オールドレンズをまとめて3本見てもらった。どれも定番どころのオールドレンズで、これらをニコン製ボディで使えることに感慨深いものをおぼえる。どのレンズも問題なく無限遠撮影でき、内面反射のような画質劣化も皆無だった。ニコン Z 6はボディ内手ブレ補正を搭載しているので、暗所撮影や望遠レンズもお手のもの。オールドレンズの相棒として、ニコン Z 6とSHOTEN製マウントアダプターはいい仕事をしてくれる。
次いで、レンジファインダー機用オールドレンズを3本見てもらった。注目すべきは、ショートフランジバックの超広角オールドレンズでマゼンタかぶりが発生していない点だ。ニコン Z 6はイメージセンサー前のガラスが通常よりも薄いと言われており、その結果、周辺画質の向上が見込めると話題になっていた。GRレンズ21ミリF3.5とホロゴン T* 16ミリF8の実写を見ると、評判通り、周辺部の色かぶりはほぼ気にならない。周辺像の流れはホロゴン T* 16ミリF8でいくぶん目立つものの、これだけの画質なら大健闘と言えるだろう
なお、ここで使ったホロゴン T* 16ミリF8は、コンタックスGマウントをライカMマウントに改造し、さらにレンズガードを1.2ミリほど削っている。また、サイレント撮影で内部干渉を極力避けるようにした。この個体に関しては問題なく撮影できたが、すべてのホロゴンで撮影できることを保証するものではない。そもそもデジタル環境ではリスクの多いレンズなので、撮影は自己責任で試してほしい。
ニコンのデジタル一眼レフはフランジバックが46.5ミリと長かったため、オールドレンズ撮影が困難だった。ニコンDfが発売になった際、オールドレンズをマウント改造して使うというスタイルが流行ったことがある。ただそれも、一部のマニア向けの撮影スタイルだった。そうしたことを踏まえると、ニコン Z 6/7が登場した今年は、ニコンユーザーにとってオールドレンズ元年と言えそうだ。ニコンのボディでオールドレンズの自由を満喫しようではないか。
●PRODUCTS LIST
SHOTEN N.Zシリーズ