澤村徹のカメラガジェット放浪記 第5回「GFX 50Sで甦るコンタックス645レンズ」 Fringer FR-C6GF ・ Cam-in CAM8042

写真・文=澤村 徹

写真・文=澤村 徹

 

富士フイルムから中判ミラーレスGFX 50Sが登場し、オールドレンズ界隈が活気づいている。GFX 50Sはマウントアダプター経由での撮影が可能で、オールドレンズのベースボディとして理想的だ。すでに各社からGFX 50S用マウントアダプターが多数発売になっており、中でも際立っているのが今回紹介するFringerの製品だ。

 

FringerはAF可能なコンタックスレンズに特化したマウントアダプターメーカーだ。コンタックスN、コンタックス645といったAF対応レンズを、最新のデジタルボディで甦らす。単に装着するだけでなく、AF動作と絞り制御に対応したスマートアダプターだ。

 

 

FR-C6GFを使うと、コンタックス645レンズをGFXボディで使えるようになる。大型レンズを支えるべく、堅牢な作りになっている。

FR-C6GFを使うと、コンタックス645レンズをGFXボディで使えるようになる。大型レンズを支えるべく、堅牢な作りになっている。

 

電子接点を搭載し、コンタックス645レンズのAF動作と絞り制御が可能だ。内面反射防止の起毛素材が貼り付けられ、三脚座も装備している。

電子接点を搭載し、コンタックス645レンズのAF動作と絞り制御が可能だ。内面反射防止の起毛素材が貼り付けられ、三脚座も装備している。

 

ここで取り上げるFR-C6GFは、コンタックス645マウントレンズをGFX 50SでAF動作させるマウントアダプターだ。そもそもコンタックス645は中判一眼レフで、AFと電磁絞りを採用しているため、再利用の難しいレンズだった。FR-C6GFはそれをGFX 50Sで完全復活させる。AFと絞りをGFX 50S側で制御でき、Exifには絞り値はもちろん、レンズ情報も記録可能だ。現時点ではAF動作非対応のコンタックス645レンズもあるが、ディスタゴン T* 45ミリF2.8、プラナー T* 80ミリF2.8、ゾナー T* 140ミリF2.8など、主要なレンズはAF動作が可能だ。その他のレンズもMFであれば問題なく動作する。もちろん絞り制御はすべてのコンタックス645レンズで可能だ。

 

 

ディスタゴン T* 45ミリF2.8はコンタックス645マウントのAFレンズだ。FR-C6GFは絞り制御だけでなく、AF動作も実現する。

ディスタゴン T* 45ミリF2.8はコンタックス645マウントのAFレンズだ。FR-C6GFは絞り制御だけでなく、AF動作も実現する。

 

ここでは2本のコンタックス645レンズで試写してみた。まずディスタゴン T* 45ミリF2.8だ。35ミリ判換算28ミリ相当の広角レンズである。GFX 50Sに装着した場合は35ミリ判換算36ミリ相当となり、一応広角らしさを感じられる。AF動作はマウントアダプター経由としてはまずまず実用的なスピードだ。ピント精度はかなり高く、合焦ランプさえ点ればピントの芯で被写体を捉えてくれる。GFX 50SのAFモードをシングルモードにセットした場合、ボディのフォーカスレバー(ジョイスティック)でフォーカスエリアをすばやく移動できる。MFに切り替えたいときは、GFX 50Sのフォーカスモード切替レバーを「M」にセットすればよい。このように操作面で制約が少なく、FR-C6GFの完成度の高さが実感できるだろう。

 

 

GFX 50S + Distagon T* 45mmF2.8 + Fringer FR-C6GF 絞り優先AE F8 1/280秒 +0.67EV ISO100 AWB RAW フォーカスエリアを下方に移動し、斜面の牧草ロールにピントを合わせる。周辺部でのピント合わせだったが、ピントの芯で被写体を捉えてくれた。

GFX 50S + Distagon T* 45mmF2.8 + Fringer FR-C6GF 絞り優先AE F8 1/280秒 +0.67EV ISO100 AWB RAW フォーカスエリアを下方に移動し、斜面の牧草ロールにピントを合わせる。周辺部でのピント合わせだったが、ピントの芯で被写体を捉えてくれた。

 

GFX 50S + Distagon T* 45mmF2.8 + Fringer FR-C6GF 絞り優先AE F4 1/420秒 ISO100 AWB RAW GFX 50Sとの組み合わせでは35ミリ判換算36ミリ相当となり、広角に相応しいワイドな画角で光景を切り取る。中判用広角レンズを広角として使えるのは大きな恩恵だ。

GFX 50S + Distagon T* 45mmF2.8 + Fringer FR-C6GF 絞り優先AE F4 1/420秒 ISO100 AWB RAW GFX 50Sとの組み合わせでは35ミリ判換算36ミリ相当となり、広角に相応しいワイドな画角で光景を切り取る。中判用広角レンズを広角として使えるのは大きな恩恵だ。

 

GFX 50S + Distagon T* 45mmF2.8 + Fringer FR-C6GF 絞り優先AE F8 1/170秒 +0.67EV ISO100 AWB RAW このディスタゴンは太めの線で力強く被写体を切り取る。周辺部に多少甘さが残るが、そうしたアナログテイストも魅力として味わいたい。

GFX 50S + Distagon T* 45mmF2.8 + Fringer FR-C6GF 絞り優先AE F8 1/170秒 +0.67EV ISO100 AWB RAW このディスタゴンは太めの線で力強く被写体を切り取る。周辺部に多少甘さが残るが、そうしたアナログテイストも魅力として味わいたい。

 

2本目はアポマクロプラナー T* 120ミリF4だ。コンタックス645レンズの中で唯一のMFレンズである。FR-C6GFを経由すると、レンズの電磁絞りをGFX 50S側でコントロールできるのが利点だ。その挙動を見ていくと、まずレンズの絞りリングを任意の絞り値にセットする。自動絞りで動作するため、この段階では絞りは開放のままだ。シャッターボタンを半押しすると絞りが絞り込まれ、そのまま全押しすると撮影となる。ピント合わせは開放状態で行えるため、明るいファインダーで被写体にピント合わせ可能だ。

 

 

アポマクロプラナーT* 120ミリF4はMF仕様のレンズだ。色収差を抑えたアポ仕様のマクロレンズで、プロの間でも根強い人気がある。

アポマクロプラナーT* 120ミリF4はMF仕様のレンズだ。色収差を抑えたアポ仕様のマクロレンズで、プロの間でも根強い人気がある。

 

GFX 50S + Apo-Makro-Planar T* 120mmF4 + Fringer FR-C6GF 絞り優先AE F4 1/170秒 +0.67EV ISO100 AWB RAW ひまわり畑にレンズを向ける。手前のひまわりに開放でピントを合わせた。背景のひまわりがうっすらとボケて、肉眼で見た光景以上に奥行きを感じさせる。

GFX 50S + Apo-Makro-Planar T* 120mmF4 + Fringer FR-C6GF 絞り優先AE F4 1/170秒 +0.67EV ISO100 AWB RAW ひまわり畑にレンズを向ける。手前のひまわりに開放でピントを合わせた。背景のひまわりがうっすらとボケて、肉眼で見た光景以上に奥行きを感じさせる。

 

GFX 50S + Apo-Makro-Planar T* 120mmF4 + Fringer FR-C6GF 絞り優先AE F4 1/480秒 ISO100 AWB RAW 二線ボケが出そうなシーンだが、うまく持ちこたえてくれた。ボケが美しく、繊細なシャープネスを得意とする。

GFX 50S + Apo-Makro-Planar T* 120mmF4 + Fringer FR-C6GF 絞り優先AE F4 1/480秒 ISO100 AWB RAW 二線ボケが出そうなシーンだが、うまく持ちこたえてくれた。ボケが美しく、繊細なシャープネスを得意とする。

 

GFX 50S + Apo-Makro-Planar T* 120mmF4 + Fringer FR-C6GF 絞り優先AE F4 1/1700秒 ISO100 AWB RAW マクロレンズという位置付けだが、遠景撮影にも妙味がある。朝もやの微妙なトーンをていねいに捉えてくれた。

GFX 50S + Apo-Makro-Planar T* 120mmF4 + Fringer FR-C6GF 絞り優先AE F4 1/1700秒 ISO100 AWB RAW マクロレンズという位置付けだが、遠景撮影にも妙味がある。朝もやの微妙なトーンをていねいに捉えてくれた。

 

FR-C6GFはGFX 50S側で絞り操作することもできる。レンズの絞りリングを最小絞り(最も数値の大きいF値)にセットすると、GFX 50Sのコマンドダイヤル(グリップ上部のダイヤル)で絞りコントロールが可能だ。1/3段ずつ絞り値が変わり、シャッターボタンを半押しすると絞り値に従って絞り込まれる。とても便利な機能だが、絞り優先AEおよびプログラムオートに設定している場合、絞りリングを最小絞りにセットするとAFが動作しないことがある。この点が惜しまれるところだ。安定性を重視するならば、絞り優先AE、MF、そして絞り操作はGFX 50Sのコマンドダイヤルというセッティングがお薦めだ。

 

 

キャンバス風の生地とレザーを組み合わせたワイドストラップ。カメラ型のバッチがアクセントになっている。

キャンバス風の生地とレザーを組み合わせたワイドストラップ。カメラ型のバッチがアクセントになっている。

 

最後にGFX 50S向けのストラップに触れておこう。周知の通り、GFX 50Sはストラップ取り付け部に独自の金具を用いている。この金具のために、装着可能なストラップが限られてしまうのが現状だ。ただし、ひとつ裏ワザがある。カメラメーカーは推奨こそしていないが、ハッセルブラッド用のストラップが流用できるのだ。ここではCam-inのCAM8042を組み合わせてみた。オーソドックスなナイロンテープのストラップに、オプションのハッセルブラッド用の金具を装着している。これでGFX 50Sに装着したところ、問題なく使用できた。ミラーレスとは言え中判デジタルはそれなりに重量があるので、ストラップは短めにして提げると安定して携行できるだろう。

 

 

取り付け部にオプションのハッセルブラッド用の金具BK02を装着。この金具でGFX 50Sに装着が可能だ。取り外しも問題なかった。

取り付け部にオプションのハッセルブラッド用の金具BK02を装着。この金具でGFX 50Sに装着が可能だ。取り外しも問題なかった。

 

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