【HarQの使えばわかる】TTArtisan AF 75mm F2 L
Posted:2025年5月23日 Category:Column
気になる75㎜の“弱望遠”のLEICA Lマウント版
75mmを中望遠とは言いづらいし、 標準と言うには少々狭い画角なので”弱望遠”と個人的に言っている。(分類などどうでもいいが…)

LUMIX S5と合わせる。コンパクトなレンズで扱いやすく、金属ボディで格好いい。
このレンズで私の地元である「ならまち」をスナップしてみた。
梅雨に入る前の5月で、日なたでは暑い日の午後。湿度の低さが救いだけど、半袖のTシャツも歩き回れば汗をかく。

F8:見上げれば新緑と青空で、気温に関係なくさわやかである。

F2:ボケで余計なものを写さない(笑)古い町並みっぽく、モノクロームで描写する瓦と白壁と電柱。昭和感アリマス。
カエデの葉は、紅葉だけでなく新緑もフォトジェニックである。露出の変化で色々と表現できる。

F2で撮影:新緑が美しい

古民家の軒先、小鹿の置物は誰が作ったのだろうか? この町が、古より鹿と密接なつながりのあるのが伝わってくる。

F4:玉ボケに角がつき始める。
「ならまち格子の家」は、無料で入ることができるオープンな町家である。

F4で撮影

F2.8:町家の室内は暗い。だから光を意識しやすい。

F2.8:人の気配ある町家の演出には必要。

F4:以前から「この鉄瓶でお茶を入れてみたい。」と思っている。

F2.8:居間の電灯と格子と表の通り。

F4:格子の家の入口にある記帳の傍に。。。

F2.8:2階へ上がる階段は和ダンスになっている。外からやんわり差し込む光が良い感じ。

F4:板戸の裏側にあでやかな色。
格子の家を出てしばらく歩くと、レトロ感のあるポストと早咲きの紫陽花に出会った。こういう感性に出会うと穏やかな気持ちになる。

F4:私がスナップでよく使うF4は結構便利な絞り。
今回一緒に行動していた友人と別れ、 家路に向かえば、猿沢の池付近をウロウロする鹿の群れに遭遇(と言うかいつもいる(笑))
東大寺参道の群れは結構過激に鹿せんべい要求するが、このあたりの群れは静かでおとなしい。

F2.8:背景の雑然さを安直に整理するのにF2.8を採用。

F2.8:モノクロシルエットぽくアーティスティックな雰囲気を。アスペクト比も2:1で。
使った感想
- 75mm F2 としてコンパクトに作られていて扱いやすい。
- 外装は金属で安っぽさは皆無。
- フードはバヨネットで使いやすいけど、ちょっと緩い。➡(ロックする爪が折れてしまってました)
- AF動作は普通に不満無く使える。
- ボケ方が好みである。
- F2の解放からピント面はシャープに解像する。
- 36,900円(2025.5.20現在)は大バーゲンだと思う。
確かにズームは便利だし今どきは描写も単焦点と遜色ないレベルにあると思うのだが、私の場合、単焦点での撮影は迷いがないという印象。画角と言う要素を固定化するだけで、余計な欲が引き算される。それだけで単焦点が良い。
正直言うと、機材への欲求というのはそれほど大きくないんですが、この75mmは欲しいと思わせる魅力を持っている1本。強い個性を感じることは無いけど、描写の端々に感じるテイストは “今日はこれだけで撮ろう” と思わせます。
写真家:HarQ Yamaguchi
奈良県在住。ソフトウェアエンジニア出身のフォトグラファー。人物、風景、静物、古寺、樹木と多岐にわたる撮影を行い、作品は風景と人物を融合したコンセプトを中心に撮影を行う。
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