KIPONは付加機能付きのマウントアダプターが得意だ。シフトおよびティルト機能を組み込んだマウントアダプターは、中でも人気の高い製品である。さて、そのシフトアダプターに中判レンズ用が多数登場した。早速その使用感をレポートしよう。 今回テストしたのは、EOSボディにハッセルブラッド用レンズを付けるShift HB-EOSだ。新設計のシフト機能が組み込まれており、ハッセルレンズで快適なシフト撮影を実現する。まず、シフトロック解除レバーを押し込むと、レンズが左右にシフトする。シフト量は左右それぞれ15ミリで、1ミリ刻みで目盛りが付いている。ゼロポイントも記されているため、標準状態にも戻しやすい。 もちろん、レボルビング機能も搭載している。シフト機構部を回転し、シフト方向を変えることが可能だ。マウントアダプター側面のレボルビングロック解除つまみを引き上げると、シフト機構部が30度刻みで360度回転する。こちらもシフト機能と同様、標準状態に簡単に戻せるため、通常撮影とシフト撮影を手際よく切り替えられる。 レンズ側のマウントは、ここで取り上げたハッセルブラッドVマウントを筆頭に、ペンタックス67、ペンタックス645、マミヤ645をラインアップしている。主要な中判レンズ用マウントを網羅しており、フィルム時代に愛用していた中判レンズで手軽にシフト撮影が可能だ。 撮影方法は一般的なシフト撮影に準じている。まず、三脚にカメラを固定し、被写体に対して水平垂直な位置にセットしよう。この状態だと、被写体がフレームからはみ出してしまうことがある。ここでシフト機能の出番だ。シフト機能とレボルビング機能を使い、光軸をシフトする。こうすることで水平垂直を保ったまま被写体をフレーム内に収められるだろう。通常撮影では遠近感が付いてしまうようなシーンでも、KIPONのシフトアダプターがあれば被写体を真っ正面から捉えられる。シフト撮影は建築物の撮影に欠かせない機能だが、それ以外でも、ボックス状の小物をパースなしで撮りたいときなどに重宝するはずだ。
新設計のシフト機能を組み込んでいる。ボディ側マウントは、キヤノンEFとニコンFをラインアップしている。
ハッセルブラッドをはじめ、ペンタックス67、ペンタックス645、マミヤ645に対応する。
左右それぞれ15ミリのシフト量を確保している。レバーを押し込むとシフトできる。
シフト機構部には目盛りが刻まれており、微調整なども操作しやすい。
レボルビング機能でアダプターが回転するため、左右以外の方向にもシフトできる。
つまみを持ち上げると、リボルビング機能によってアダプターが回せるようになる。
【作例】
EOS 5D Mark II + Planar C 80mmF2.8 T*
絞り優先AE F5.6 1/40秒 -1.33EV ISO250 AWB RAW シフトなし
EOS 5D Mark II + Planar C 80mmF2.8 T*
絞り優先AE F5.6 1/40秒 -0.67EV ISO320 AWB RAW シフトあり
EOS 5D Mark II + Planar C 80mmF2.8 T*
絞り優先AE F5.6 1/80秒 ISO100 AWB RAW シフトなし
EOS 5D Mark II + Planar C 80mmF2.8 T*
絞り優先AE F5.6 1/60秒 ISO100 AWB RAW シフトあり
EOS 5D Mark II + Planar C 80mmF2.8 T*
絞り優先AE F5.6 1/40秒 ISO250 AWB RAW シフトあり
EOS 5D Mark II + Planar C 80mmF2.8 T*
絞り優先AE F5.6 1/50秒 -0.67EV ISO100 AWB RAW シフトあり
製品紹介
最大±15mmのシフトが可能です。
マウントアダプターを回転させてシフト方向を変えることができます。