一色卓丸|90mm中望遠で異次元のF1.25という新スペックレンズ登場! TTArtisan 90mm f1.25 ライカM

 

銘匠光学から、ライカMマウントの中望遠90ミリで開放F1. 25という異次元の大口径レンズ「TTArtisan 90mm f1.25」が登場。全長97mm、フィルター径77mm、重量が1010g、TTArtisanのレンズでは一際大きく、小型M型ライカに装着すると 前玉の存在感がインパクト大だ。この巨大な前玉だけでも、写りがヤバそうだと感じさせる外観だ。レンズには逆付け収納ができる金属製フードが付属していて、鏡胴には三脚座も備えている。
ライカでのポートレート撮影時には、レンジファインダーでピント合わせが難しい中望遠系レンズを使用することは今まであまり無かったが、この「TTArtisan 90mm f1.25」は、「ライカノクチリュクス75mm f1.25 ASPH」というスーパーレンズを彷彿させる90mm f1.25という新スペックの大口径レンズなので、今までにない描写への期待が大きく膨らむ。

 

モデル:黒木百花
撮影・文:一色卓丸

 


Leica M10-P + TTArtisan 90mm f1.25 M(ISO100  F1.25  1/2000秒  AWB RAW)

 

中望遠の90mmらしく背景には滑らかな大きなボケ、ピントを合わせた手前の瞳は繊細な線を描き、その瞳の周りからすでに滑らかにボケ始めているピント面の薄さ。最短距離1mに近いバストアップのポートレート撮影にf1.25の大口径中望遠レンズを使うことによって、周辺のボケを強く生かした迫力のあるポートレートが撮れる。大口径のf値によるボケと中望遠レンズのボケ感のコンビネーションは、ポートレート撮影では重宝しそうな印象だ。

 

 

Leica M10-P + TTArtisan 90mm f1.25 M(ISO100  F1.25  1/3000秒  AWB RAW)

 

レンズ設計では、4群のアクロマチックレンズによる高い解像性能と収差補正で、明るい空のハイライトと接した葉のエッジ部分では、パープルフリンジの色収差をうまく抑え込んでいてスッキリ見える。

 

 

Leica M10-P + TTArtisan 90mm f1.25 M(ISO100  F1.25  1/4000秒  AWB RAW)

 

明るい屋外でのf1.25の開放撮影だと、常にギリギリの露出での撮影になることが多いが、ISO1ooの低感度で得られる瑞々しい描写は大口径レンズならではの質感だ。大きな薔薇の花びらは、f1.4クラスのボケだと少し煩く見えることも多いが、f1.25では滑らかなで美しい描写が得られる。背景の白バラのボケ方も綺麗だ。

 

 

Leica M10-P + TTArtisan 90mm f1.25 M(ISO100  F1.25  1/1000秒  AWB RAW)

 

遠距離によるf1.25開放での全身撮影を行ってみた。中望遠レンズの望遠効果により予想通り、大きくボケた背景に人物が浮き立つ立体感を得られた。90mmでこの距離感での撮影だと人物からかなり離れての撮影になり、ライカのレンジファインダー撮影では少々難しいが、ライカM10のライブビューによる拡大表示でピントを容易に合わせることが出来た。

 

 

Leica M10-P + TTArtisan 90mm f1.25 M(ISO100  F1.25  1/2000秒  AWB RAW)

 

この距離感で50mmクラスのレンズではなかなか得られない背景の迫力感があり、中望遠の圧縮効果を感じられる描写が可能だ。

 

 

Leica M10-P + TTArtisan 90mm f1.25 M(ISO100  F1.25  1/2000秒  AWB RAW)

 

中間距離でのポートレート撮影では、平坦になりがちな人物と背景が近い場合でも、90mm f1.25の開放撮影では、背景のお店の壁も程よくボケて人物が浮き上がり、自然な立体感を作ってくれた。

 

 

Leica M10-P + TTArtisan 90mm f1.25 M(ISO100  F1.25  1/2000秒  AWB RAW)

 

TTArtisan 90mm f1.25 Mの銅鏡の距離指標は、大口径レンズらしく最短撮影距離1mから2.5mまでの指標がとても細かく中間距離撮影での厳密なピント合わせができる。

 

 

Leica M10-P + TTArtisan 90mm f1.25 M(ISO100  F1.25  1/1500秒  AWB RAW)

 

中望遠ならではの溶け込むような美しい前ボケで、写真にフィルターをかけたような効果を作ってくれた。逆光気味の撮影では適度なフレアも入り、作品創りに最適な描写が得られた。「TTArtisan 90mm f1.25 M」は、マニュアルフォーカスのライカでも、ポートレート撮影で使いたくなるような魅力のある絵が撮れる新スペックの大口径の中望遠レンズだ。

 


また中一光学からもライカMマウントのSPEEDMASTER 90mm f1.5という大口径中望遠レンズの発売も予定されているという。
発売前のプロトタイプをお借りできたので、TTArtisan 90mm f1.25 Mと比べて撮影してみた。

 

中一光学 SPEEDMASTER 90mm f1.5

 

プロトタイプなので、厳密なスペックや外観は不明だが、SPEEDMASTER 90mm f1.5 プロトタイプは、サイズや重さも「TTArtisan 90mm f1.25 M」とほぼ同じくらいだ。

 

 

Leica M10-P + SPEEDMASTER 90mm f1.5(ISO100  F1.25  1/3000秒  AWB RAW)

 

Leica M10-P + TTArtisan 90mm f1.25 M(ISO100  F1.25  1/3000秒  AWB RAW)

 

Leica M10-P + SPEEDMASTER 90mm f1.5(ISO100  F1.25  1/3000秒  AWB RAW)

 

Leica M10-P + TTArtisan 90mm f1.25 M(ISO100  F1.25  1/3000秒  AWB RAW)

 

「SPEEDMASTER 90mm f1.5」と「TTArtisan 90mm f1.25 M」の開放撮影の描写を比べるのは非常に難しくどちらとも似た印象だったが、同じISO感度と同じシャタースピードの撮影だと「SPEEDMASTER 90mm f1.5」はボケ具合に少し癖があるように感じ、「TTArtisan 90mm f1.25 M」は少し滲みのある柔らかい描写になる。通常大口径といえるf1.5もf1.25レンズと比べると、f1.5開放撮影でもしっかりと写る印象があった。
中一光学からも「SPEEDMASTER 90mm f1.5」が発売されれば、ライカユーザーにとってもポートレート撮影に使える大口径中望遠レンズの選択肢が増え、今後楽しみだ。

 


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