澤村徹のカメラガジェット放浪記 第15回「今すぐニコンZでキヤノンEFレンズを使う方法」
TECHART TZE-01 / SHOTEN EF-E

写真・文=澤村 徹

 

Nikon Z 6/7が発売になって一年近くになる。各社から様々なマウントアダプターが登場し、オールドレンズを楽しむには申し分ない環境が整った。その一方で、キヤノンEFレンズ向けのスマートアダプター(電子接点付きのAF対応マウントアダプター)は日本国内では登場していない。これを創意工夫で乗り越えようというのが今回の企画だ。

用意したのはTECHART TZE-01とSHOTEN EF-Eだ。TECHART TZE-01はソニーEマウントレンズをニコンZボディでAF動作させるスマートアダプター、SHOTEN EF-EはキヤノンEFマウントレンズをソニーEマウントボディでAF動作させるスマートアダプターだ。ふたつのスマートアダプターを併用すれば、キヤノンEFレンズをニコンZボディで使えるのではないか。スマートアダプター二段重ねという人柱企画である。

 

左がTECHART TZE-01、右がSHOTEN EF-Eだ。メーカーの異なるスマートアダプターだが、果たして動くのだろうか。

 

[ 装着構成 ]

キヤノンEFレンズ → SHOTEN EF-E → TECHART TZE-01 → ニコンZボディ

 

上記のように機材を装着して撮影するわけだが、メーカーの異なるスマートアダプターだけに動作の保証はない。うまくAFが動けばラッキーといったところだろう。まず、キヤノンのEF 40mm F2.8 STMで試してみた。Nikon Z 6側でシングルポイントAFとオートエリアAFで撮影したところ、どちらでもAF動作は可能。ただ、スマートアダプター全般に言えることだが、シングルポイントAFの方がストレスが少ない。AF速度に関してはあまり望めず、ゆっくりと詰めていく感じだ。条件が良ければ速やかに合焦することもあるが、たいていはもったりとピントが合う。精度については合焦ランプが緑に点りさえすれば、しっかりと被写体に合焦してくれた。絞りコントロールはボディ側で行うことになり、絞り優先AEで問題なく絞り変更できた。

 

二段重ねしたスマートアダプターにキヤノンのEF 40mm F2.8 STMの装着。スピードは望めないが、AF精度はまずまずだ。


 

Nikon Z 6 + EF 40mm F2.8 STM 絞り優先AE F5.6 1/100秒 ISO100 AWB RAW AFはお世辞にも速いとは言えないが、建物のような動かない被写体ならストレスなく撮影できる。

 

Nikon Z 6 + EF 40mm F2.8 STM 絞り優先AE F2.8 1/1250秒 ISO100 AWB RAW シングルポイントAFでフォーカスエリアを移動し、手前のタイヤにピントを合わせる。しっかりと合焦し、背景はうっすらとボケる。

 

Nikon Z 6 + EF 40mm F2.8 STM 絞り優先AE F2.8 1/200秒 ISO100 AWB RAW ローラースケートのタイヤにピントを合わせた。写り込みの激しいシーンだが、うまく合焦してくれた。

 

Nikon Z 6 + EF 40mm F2.8 STM 絞り優先AE F2.8 1/640秒 ISO100 AWB RAW 三輪タクシーのヘッドライトにピントを合わせる。構図的にわかりやすいこともあり、速やかに合焦した。

 

サードパーティー製EFマウントレンズの例として、TAMRON SP AF28-75mm F/2.8を試してみた。装着して電源を入れると、AFがうまく動作しない。取り付けをやり直すと今度はAFで動く。理由はわからないが、時折AFが動かず、着脱し直すと動作するということがあった。AF動作可能な状態であれば、AFの速度、精度はEF 40mm F2.8 STMと似たり寄ったりだ。けっしてスピーディーとは言えないが、合焦ランプさえ緑に点ればしっかりとピントが合う。絞り制御も問題ない。

 

タムロンの大口径標準ズーム、SP AF28-75mm F/2.8を装着した。フォーカスモードがMFになってしまう時は、レンズを着脱し直すとAF動作した。


 

Nikon Z 6 + SP AF28-75mm F/2.8 絞り優先AE F2.8 1/320秒 ISO100 AWB RAW 75mm シングルポイントAFで小さな花にピントを合わせる。掟破りなスマートアダプター二段重ねでもちゃんと合焦してくれた。

 

Nikon Z 6 + SP AF28-75mm F/2.8 絞り優先AE F4 1/1600秒 ISO100 AWB RAW 75mm 中遠距離でもピント精度は問題ない。AF速度はじわじわと距離を詰めていく感じだ。

 

Nikon Z 6 + SP AF28-75mm F/2.8 絞り優先AE F5.6 1/50秒 +1.33EV ISO100 AWB RAW 35mm フォーカスエリアを中央にしてざっくりと撮影した。AFは特に悩むことなく合焦。込み入った光景でも問題なく撮れた。

 

両レンズとも、スピードさえ求めなければ特に不満なくスナップできた。少なくとも、MFでピント合わせするよりは快適だ。スマートアダプター二段重ねというイレギュラーなセットアップだが、思いの外実用的である。動体を追いかけるような無茶な使い方さえしなければ、それなりに実用できるだろう。


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